ネットバンキングと連携できる口座であれば、会計ソフトが明細を自動で取り込んでくれます。問題は、紙の通帳しかない口座です。ここだけ手入力が残り、月次のたびに同じ作業が発生します。ナビドックスでは、通帳を携帯電話で撮影し、その写真をAIでExcelにして、会社ごとの科目ルールを覚えるアプリで仕訳データに加工する工程を、実際の経理代行業務で運用しています。このページでは、その手順と、うまくいかないときの対処をまとめました。

なぜ、紙の通帳の入力だけが手作業で残るのか

会計ソフトの自動連携は、「連携できる口座」であることが前提になっています。

  • ネットバンキングを契約していない口座がある
  • 信用金庫・信用組合など、連携の対象になっていない口座がある
  • 外貨預金の口座で、明細の自動取得ができない
  • 代表者名義のまま事業に使っている口座がある
  • 連携を設定したものの、認証の更新で止まったままになっている
  • そもそも通帳が紙で手元にあり、それを見ながら入力している
口座が10のうち9つ連携できていても、残り1つが紙であれば、毎月その1つのために手入力の工程が残ります。件数が少なくても、毎月必ず発生する作業ほど負担になります。紙の通帳のデータ化は、この「最後に残る手作業」をなくすための工程です。

撮影から仕訳データまでの5ステップ実務で利用中

AIが担当するのは②まで。会社ごとの会計判断はアプリと人が引き受けます。

スマホで撮影

通帳のページを携帯電話で撮影します。原本はお客様が持ったままです。

AIでExcel化

日付・摘要・入金額・出金額・残高を抽出し、決まった形式のExcelにします。

アプリへアップロード

会社ごとの科目ルールを学習して覚えるアプリに取り込みます。

仕訳データへ加工

覚えたルールを当てはめ、会計ソフトに取り込める形にします。

検算・確認

残高の検算と人の確認を経て、会計ソフトへ取り込みます。

各ステップで、何をしているか

工程を分けている理由まで含めてご説明します。

STEP1 携帯電話で撮影する

専用のスキャナは使いません。通帳のページを携帯電話のカメラで撮影します。原本はお客様の手元に残りますので、通帳を郵送したり預けたりする必要がありません。ここが、紙の資料をお預かりする従来のやり方といちばん違う点です。

撮影は、明るい場所で、通帳の紙面が影にならないようにするのがコツです。真上から、見開きのページ全体が入るように撮ります。ページを飛ばさず、記帳の順番どおりに撮っておくと、後の突き合わせが楽になります。

STEP2 AIで写真をExcelにする

撮影した写真をAIに読み取らせ、日付・摘要・入金額・出金額・残高を抽出して、あらかじめ決めた形式のExcelにします。列の並びと項目は固定です。ここを固定しておくことが、後の工程を自動化できるかどうかを分けます。

従来型のOCRでは、帳票の種類、印字の状態、撮影の条件、表の形によって、人が直す作業が多く残っていました。項目の位置が一定でない資料でも意味を読み取れるようになったことが、AIを使う一番の理由です。

STEP3 科目ルールを覚えるアプリにアップロードする

出来上がったExcelを、会社ごとの科目ルールを学習して覚えるアプリにアップロードします。「この摘要の取引には、この勘定科目と補助科目を当てる」という対応を、会社ごとに保持していく仕組みです。

一度確定させた対応は、アプリが覚えます。次に同じ取引が出てきたときは、AIに問い合わせることなく同じ結果になります。毎月AIに判断させないので、利用費も待ち時間も増えませんし、去年と今年で結果が変わることもありません。

STEP4 仕訳データとして取り込める形に加工する

覚えたルールを当てはめて、会計ソフトが取り込める仕訳データの形に整えます。使っている会計ソフトによって必要な列や形式は違うため、そこに合わせて出力します。会計ソフトを乗り換えていただく必要はありません。

STEP5 検算して、人が確認する

通帳には、検算に使える情報がもともと入っています。前の残高+入金-出金=次の残高。この関係が崩れていれば、どこかの行の読み取りか、行そのものが抜けています。機械的に確認できるこうした項目は、AIではなくプログラムで検算します。

人が目を通すのは、読み取りの信頼度が低い行、検算が合わない行、これまでに出てきていない取引だけです。全行を見比べる作業はしません。

うまく読み取れないときに、確認していること

読み取りが不安定になる原因は、だいたい決まっています。

起きやすいこと原因対処
金額の桁がずれる影や光の反射で数字がつぶれている明るい場所で、真上から撮り直す
行が抜ける綴じ部分の歪みで文字が曲がっている通帳を平らに開いて撮影する
日付が飛ぶページの撮り漏れ、順番の入れ違い残高の検算で検出し、該当ページを撮り直す
摘要が読めないカナの略称や、振込依頼人名の省略会社ごとの対応表に登録して、次回から自動で当てる
1行に複数取引が入る合算で記帳されている内訳の資料と突き合わせて人が分解する
手書きが混ざる通帳への書き込み、訂正印など読み取り対象外とし、人が確認する
読み取り精度について
資料の状態や記帳の内容によって、確認が必要な範囲は変わります。「読み取れること」と「正しい会計データになること」は別の工程です。精度100%や、人の確認が不要になるというご説明はしておりません。

外貨の通帳も、同じ工程で扱えます

自動連携から最も外れやすいのが、外貨の口座です。

クラウド会計ソフトの外貨対応は、金融機関とのデータ連携か、外貨の金額を入力して自動で円換算する仕組みが前提になっています。明細を自動で取り込める外貨口座は一部の金融機関やサービスに限られており、そこから外れた口座は対象外です。米ドル以外の通貨になると、明細の様式も、適用したレートの根拠を残す作業も、会社ごとに違ってきます。

紙の外貨通帳も、日本円の通帳とまったく同じ工程を通せます。違うのは、Excelに通貨・適用レート・換算の根拠を列として持たせる点です。

円換算の計算と為替差損益の集計は、AIではなく通常のプログラムで固定処理します。計算そのものをAIに毎回やらせないので、同じ条件なら必ず同じ結果になり、後から「どのレートで換算したか」をたどれます。

この工程で、AIに任せていないこと

どこにAIを使わないかを決めることが、続けられる仕組みの条件です。

残高の検算

前残高+入金-出金=次残高のように答えが一意に決まる計算は、プログラムで行います。AIに検算させると、費用がかかるうえに結果が揺れる可能性があります。

会社ごとの科目ルール

同じ摘要にどの科目を当てるかは、その会社の継続処理です。一度決めたらアプリが覚え、翌月も翌年も同じルールを当てます。毎回AIに考えさせません。

税区分の判断

税区分には、法令上の扱いと実務の継続処理が分かれるものがあります。領収書の記載だけを見て判断させると、毎月同じ手直しが発生します。

最終確認と説明

原本との照合、例外の処理、税務上の判断、お客様へのご説明は人が行います。AIの出力をそのまま確定させることはありません。

税区分の具体例(郵便切手の継続適用と、収入印紙との違い)については、会計ソフトのAI機能で足りる部分と、足りない部分で詳しく説明しています。
税務上の判断について
勘定科目や税区分の取り扱いは、会社の継続処理や取引の内容によって変わります。本ページの記載は工程の説明であり、個別の判断については顧問税理士にご確認ください。

ご依頼をお考えの方へ

まず確認させていただきたいのは、通帳そのものよりも、その前後の流れです。

この工程は、経理代行・記帳代行の中で運用しているものです。ご相談をいただいた際は、次の点を確認したうえで、どこまで自動化できるかをご提案します。

  • 紙の通帳が何口座あり、月に何ページ分の記帳が発生するか
  • ネットバンキングと連携できる口座が他にあるか
  • 現在お使いの会計ソフトと、取り込みに使っている形式
  • 勘定科目・補助科目の付け方について、社内で決まっているルール
  • 外貨口座の有無と、換算レートの根拠の残し方

AIやツールを入れること自体が目的ではありません。手作業が残っている場所と、同じ入力を繰り返している場所を先に整理したうえで、経理代行、既存のツール、自社アプリを組み合わせてご提案します。

よくある質問

紙の通帳のデータ化について、お問い合わせの多いご質問をまとめました。

スキャナは必要ですか?携帯電話の写真で足りますか?

携帯電話で撮影した写真で運用しています。専用のスキャナは必要ありません。

明るい場所で、通帳を平らに開き、影が入らないように真上から撮っていただければ十分です。ページを飛ばさず、記帳の順番どおりに撮っていただくと、後の確認が早くなります。

通帳の原本は預ける必要がありますか?

必要ありません。撮影した写真をお送りいただく形ですので、原本はお客様の手元に残ります。郵送や受け渡しの手間、紛失のご心配もありません。

読み取ったデータは、そのまま会計ソフトに入れられますか?

読み取っただけのデータは、まだ会計データではありません。日付・摘要・金額が並んだ状態から、会社ごとの勘定科目や補助科目を当て、残高の検算と人の確認を通して、はじめて会計ソフトに取り込める仕訳データになります。

出力する形式は、お使いの会計ソフトに合わせます。会計ソフトを乗り換えていただく必要はありません。

通帳の写真をAIに送っても大丈夫ですか?

利用するサービスの契約条件、学習利用の有無、保存期間、アクセス権、削除の方法によって変わります。ナビドックスは、承認した環境から必要最小限の情報だけを送り、処理の記録を残す運用にしています。

「自社の資料はAIに通さないでほしい」というご要望にも対応します。該当する工程を通常の処理に切り替えますので、ご相談時にお申し付けください。

外貨の通帳もデータ化できますか?

できます。日本円の通帳と同じ工程を通し、Excelに通貨・適用レート・換算の根拠を列として持たせます。円換算と為替差損益の集計は、AIではなく通常のプログラムで処理するため、同じ条件なら必ず同じ結果になります。

古い通帳をまとめてデータ化することもできますか?

過去分をまとめて処理することも工程としては同じですが、ページ数と記帳の状態によって、確認に必要な手間が変わります。まずは口座数と対象期間をお知らせいただければ、進め方をご提案します。

紙の通帳の入力が、毎月残っていませんか?

口座数、月の記帳量、お使いの会計ソフトをお聞かせいただければ、
どこまで自動化できるかを整理してご提案します。

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